Page 142 - 福音の力を体験せよ
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しかしイエス様は、サタンのささやきに耳を貸しませ
んでした。引き続き、救い主としての御業を遂行できる
よう祈られました。

サタンはイエス様に、「あなたは直ちに帰りなさい。
今、こんなことをしている必要はありませんよ」とささ
やきました。執拗に利己心を吹きこんでは、すぐ天に戻
るよう囁いたのでした。弟子たちがご自分を否認し、し
っぽを巻いて逃げ去ることを、イエス様はご存じでし
た。そして、ひとりぼっちになられることをご存じでし
た。そのような状況にあって、イエス様は、強力な誘惑
の力を覚えられたのでした。

彼の手にある苦い杯が揺れました。「父よ、みこころ
ならば、どうぞ、この杯をわたしから取りのけてくださ
い。しかし、わたしの思いではなく、みこころが成るよ
うにしてください」と祈られ、天父の御心を行われまし
た。それがどんなに辛くとも、彼は滅私の決断を下し、
苦い杯をお飲みになったのです。

ある日、娘が私のところに来て、「お母さん、私はいつ
になったら、自分のうちに利己心がなくなったと感じとれ
るようになるのですか?」と尋ねました。「あなたは絶対
に、そのような感情を抱くことはないでしょう。天国にの

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