Page 55 - 新生への道-text
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ような宗教は何の役にも立ちません。もしキリストが心に宿
るならば、魂は彼の愛と、彼との交わりからくる大きな喜び
に満ちあふれて、キリストに結びつき、彼を熟視して自分を
忘れてしまいます。そしてキリストへの愛が行動の源泉とな
ります。神の強く迫る愛に感激した者は、どのくらいささげ
れば神のご要求を満たすことができるか、などと最低の標
準を尋ねたりしないで、あがない主のみ心に全く服従した
いと望みます。熱心に、希望にあふれてすべてをささげ、彼
らが求めている価高いものにふさわしい関心を示します。
この深い愛がなくて、キリストを信じると告白することは単
なる話だけのことであり、無味乾燥な形式、また重苦しい苦
役にすぎないのです。

あなたはキリストに全く服従することは、あまりにも大き
な犠牲と感じられるでしょうか。「キリストは私に何を与えて
くださったか」ということを考えていただきたいのです。神
のみ子は、すべてのものをー―いのちと愛と苦しみとをー
―私たちをあがなうためにお与えになりました。こうした大
きな愛の対象としてはあまりに無価値な私たちが、自分の
心を神にささげないでいられるでしょうか。私たちは、生涯
の一瞬一瞬、キリストの恵みを受けて生きてきました。私た
ちは、どのような無知と悲惨のどん底から救われたのかを

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