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も、人間の歴史の中で一番暗いローマ時代、人々が、人間と人間を
戦わせて殺し合う姿を見物して楽しんだり、人間を野獣と戦わせて
死なせることを、娯楽として見るほどに堕落した時代に来られまし
た。そして、それほどまでに堕落した人間性を、遺伝として受け継い
で、この地へ臨まれたのです。そのような遺伝的な弱さを持ちなが
ら、聖霊に満たされた生涯を送ることによって、ただ一度もサタンに
負けることなく、罪を犯さない生き方ができることを見せて下さいま
した。誰もが、罪の言い訳する余地がないように、私たちにその可能
性を示して下さったのです。

それでは、主がこの地へ来られ、完全な勝利の生涯を送られたこ
とによって、サタンと宇宙に対する神様の目的が達成され、疑問が
みな解決されたのに、なぜ、それから二千年という歳月がたっている
のでしょうか？イエス様は、なぜすぐにお出でにならないのでしょう
か？その理由は次の通りです。もし神様が、十字架の後、すぐにサタ
ンを滅ぼしたならば、宇宙の住民たちは、「ああ、やはり、神様はサ
タンが存在する限り、人間たちが勝利できないので、彼を滅ぼされ
たのだ」と思うことになるからでした。

さらに重大な理由は、サタンは、イエス様が十字架で勝利された
のは、神性の力を用いておられたからで、彼の勝利は無効だと主張
することでした。たとえイエス様が、人間の体を取って来られたとし
ても、イエス様は神様だから、当然律法を守ることが出来たのであ
って、被造物は誰も守ることは出来ないのだと非難するのでした。

では、エノク、エリヤ、ヨセフのような、完全に戒めに従った人々が
いるではないか、という、神様の反論に、サタンはまた、このように告
訴して立つのです。「神様、あなたが彼らを度を越して保護なさるの

182 │ 聖所‐福音の道しるべ