Page 68 - Yamamoto Family -text final
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を失ったのではなく、意識が戻ってきたのでした。夢
だったのです。暗やみの中で、だんだんとベットの上
で寝ている自分を意識するようになりました。そし
て、ただ呆然と天井を見上げながら、今まで見てい
た夢を思い返しました。学校に行こうとして玄関で
息ができなくなったこと。その時死を覚悟したこと。
見送りに母が近づいてきたこと。人生最期の言葉を
母に必死に叫んだこと・・・。私の目から、涙があふれ
てきました。ベットの上で、声を上げておいおい泣き
ました。泣いて泣いて泣き続けました。皆様はなぜ、
私が泣いたのかおわかりでしょうか。それは、私の人
生の最期に、母に「今まで育ててくれてありがとう」と
言えたからです。あれほど、憎んでいた母、絶対に許
せなかった母に、ありがとうと言えたのです。自分で
も信じられませんでした。ただ、神様が私の心の傷
を癒してくださったのでした。自分では決して消すこ
とのできなかった憎しみを取り去って下さったので
す。心を変えてくださったのです。あまりの嬉しさに、
「こんな素晴らしい神様を伝えたい。私は牧師にな
68 一条の光
だったのです。暗やみの中で、だんだんとベットの上
で寝ている自分を意識するようになりました。そし
て、ただ呆然と天井を見上げながら、今まで見てい
た夢を思い返しました。学校に行こうとして玄関で
息ができなくなったこと。その時死を覚悟したこと。
見送りに母が近づいてきたこと。人生最期の言葉を
母に必死に叫んだこと・・・。私の目から、涙があふれ
てきました。ベットの上で、声を上げておいおい泣き
ました。泣いて泣いて泣き続けました。皆様はなぜ、
私が泣いたのかおわかりでしょうか。それは、私の人
生の最期に、母に「今まで育ててくれてありがとう」と
言えたからです。あれほど、憎んでいた母、絶対に許
せなかった母に、ありがとうと言えたのです。自分で
も信じられませんでした。ただ、神様が私の心の傷
を癒してくださったのでした。自分では決して消すこ
とのできなかった憎しみを取り去って下さったので
す。心を変えてくださったのです。あまりの嬉しさに、
「こんな素晴らしい神様を伝えたい。私は牧師にな
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