Page 173 - Revival of faith -text final
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し入れをあけまして、そこにバイオリンのケースがありましたが、その
上にはホコリがたまっている状態でした。それを下して、フッ フッ
とほこりを落として、そのバイオリン奏者に渡しました。ケースを注
意深く開けました。バイオリンを手に取って、「これ、見せていただき
ましたが、弦に触ってもよろしいですか」。「ああ、いいよ、急いでや
りなさい」。弦を触ってみたのですね。「弦を触ったついでに、これ
弾いてもいいでしょうか」。「まあ、ずうずうしいなあ」と言いました。
「まあ、いいだろう」。ほんとうに古いバイオリンでした。塗装も剥
げている所がありました。注意深く音を調律してから、バイオリンの
弓を弦にあてて弾き始めたのです。きれいな音楽を演奏しました。そ
の音楽が家の外にも漏れていって、町の人たちに聞こえて行ったわ
けです。
「この音楽はどこから聞こえてくるんだろうか」。「どこから流れてく
るんだろうか。ラジオじゃないし・・・。じゃあどこだ」。「あの老人の
家だ。行ってみよう」。いろんな人たちが押しかけてきました。勝手
に入ってきて、椅子に座り始めました。家の外にも、立ち見客が増え
てきました。そして、一曲弾き終わったあと、ものすごい拍手、喝さい
が起きました。「もう一曲お願いします」。「こんな美しい音楽、聞い
たことがありません」。「もう一曲お願いします」。結局、五曲演奏し
ました。
演奏し終わった後、バイオリンを注意深くケースにしまいました。
そして、その老人に戻したわけです。驚いたことに、その老人は目か
ら涙を流していたのです。「何か悪いことをしたのでしょうか」と尋ね
ました。「いや、何も悪いことをしてないよ。あなたの音楽を聴いて
いるうちに、一つのことに気づきました。このバイオリンは、私に属
すべきものではなくて、あなたに属すべきものであることがわかりま
した。私がこのバイオリンを持っていた間、だだもうほこりをかぶせ
ていただけでした。それでは何にもなりません。ところが、それがあ
生ける神の印│173
上にはホコリがたまっている状態でした。それを下して、フッ フッ
とほこりを落として、そのバイオリン奏者に渡しました。ケースを注
意深く開けました。バイオリンを手に取って、「これ、見せていただき
ましたが、弦に触ってもよろしいですか」。「ああ、いいよ、急いでや
りなさい」。弦を触ってみたのですね。「弦を触ったついでに、これ
弾いてもいいでしょうか」。「まあ、ずうずうしいなあ」と言いました。
「まあ、いいだろう」。ほんとうに古いバイオリンでした。塗装も剥
げている所がありました。注意深く音を調律してから、バイオリンの
弓を弦にあてて弾き始めたのです。きれいな音楽を演奏しました。そ
の音楽が家の外にも漏れていって、町の人たちに聞こえて行ったわ
けです。
「この音楽はどこから聞こえてくるんだろうか」。「どこから流れてく
るんだろうか。ラジオじゃないし・・・。じゃあどこだ」。「あの老人の
家だ。行ってみよう」。いろんな人たちが押しかけてきました。勝手
に入ってきて、椅子に座り始めました。家の外にも、立ち見客が増え
てきました。そして、一曲弾き終わったあと、ものすごい拍手、喝さい
が起きました。「もう一曲お願いします」。「こんな美しい音楽、聞い
たことがありません」。「もう一曲お願いします」。結局、五曲演奏し
ました。
演奏し終わった後、バイオリンを注意深くケースにしまいました。
そして、その老人に戻したわけです。驚いたことに、その老人は目か
ら涙を流していたのです。「何か悪いことをしたのでしょうか」と尋ね
ました。「いや、何も悪いことをしてないよ。あなたの音楽を聴いて
いるうちに、一つのことに気づきました。このバイオリンは、私に属
すべきものではなくて、あなたに属すべきものであることがわかりま
した。私がこのバイオリンを持っていた間、だだもうほこりをかぶせ
ていただけでした。それでは何にもなりません。ところが、それがあ
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