Page 54 - Yamamoto Family -text final
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として、席を立ったまま戻ってくることはありません
でした。30分がたち、ようやく何が起きたのかを理
解しました。なんと友人達が私を置いて、食い逃げし
ていったのです。どんなに連絡しても、連絡はつか
ず、店を出ようにも伝票の支払いを済ませなければ
なりません。そのとてつもない金額を払い、私はそ
の店を出ることになりました。
たまたま、祖父の家でかなりの額の小遣いをもら
っていたので、それらのお金を全部合わせてギリギ
リ何とか支払うことが出来ました。しかしあまりのシ
ョックに店を出た後も呆然と立っていました。あれ
ほど仲良くしていたのに。今日、親切にも泊めてくれ
ると誘ってくれたのに。わざわざ久しぶりだから会
いに来たのに。それら全てが罠だったのです。そし
て裏切られました。夜中の2時を回っていました。残
りのお金もわずかで、地理もわからず、ただ、ひたす
ら歩きまわり、夜が明けるのを待っていました。そし
て、ふと両親のことを思い出したのでした。きっと天
罰が下ったのだ。私のこれまでしてきた両親に対す
54 一条の光
でした。30分がたち、ようやく何が起きたのかを理
解しました。なんと友人達が私を置いて、食い逃げし
ていったのです。どんなに連絡しても、連絡はつか
ず、店を出ようにも伝票の支払いを済ませなければ
なりません。そのとてつもない金額を払い、私はそ
の店を出ることになりました。
たまたま、祖父の家でかなりの額の小遣いをもら
っていたので、それらのお金を全部合わせてギリギ
リ何とか支払うことが出来ました。しかしあまりのシ
ョックに店を出た後も呆然と立っていました。あれ
ほど仲良くしていたのに。今日、親切にも泊めてくれ
ると誘ってくれたのに。わざわざ久しぶりだから会
いに来たのに。それら全てが罠だったのです。そし
て裏切られました。夜中の2時を回っていました。残
りのお金もわずかで、地理もわからず、ただ、ひたす
ら歩きまわり、夜が明けるのを待っていました。そし
て、ふと両親のことを思い出したのでした。きっと天
罰が下ったのだ。私のこれまでしてきた両親に対す
54 一条の光