Page 60 - RememberMe!
P. 60
論争が生じました(15:1~6)。アンテオケ教会は、この問題を解
決するために、パウロとバルナバ及び数人を選んで、エルサレムに
いる長老たちのもとへ派遣することにしました。エルサレムの教会
は、直ちに総会を召集しましたが、これが西暦49年頃に開かれた
エルサレム会議です。

使徒たちの伝道により、福音を受け入れた異邦人クリスチャンが
原因で提起された、教理的な問題が扱われました。その時、ユダヤ
人だけに当てはまる、儀式的律法である割礼の問題は、「激しい論
争があった後」(15:7)、廃止する決定が下されました(15:19~21)。
しかし、もっと大きな問題となるはずの安息日の遵守については、論
じられることもありませんでした。その理由は、親を敬わなければな
らないかなど、あえて論じる必要はなかったからです。疑う余地の
ない事実は、最初から扱わなかったのです(15:5~11)。

ペテロは、異邦人に伝道した自らの経験を述べながら、「諸君は
なぜ、今われわれの先祖もわれわれ自身も負いきれなかったくびき
をあの弟子たちの首にかけて、神を試みるのか」(15:10)と力説して
います。

律法学者たちは、律法を守るために、さまざまな規則、細則を作
り、人が律法のために存在するかのように人々を追い込んで行っ
たのでした。それは、人々にとって、まさに負いきれないくびきでし
た。しかし、十戒そのものがくびきであるとするなら、厳格な神が、
シナイ山でご自身の指で刻んだ戒めの石版を与えることで、人が担

60 Remember me!
   55   56   57   58   59   60   61   62   63   64   65