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は聖所の中へ持っていかれませんでした。血が聖所の中へ持ってい
かれないと、罪は聖所の中へ移されないことになり、そうなると、祭
司は、その罪人のために、とりなしの祈りをすることは出来ませんで
した。

罪人が羊の頭に手を置き、罪を告白するならば、その罪は羊に移
されました。罪人が羊を殺した後、祭司はその血を受けて聖所へ入
りました。こうして、その血と共に、罪人が告白した罪が聖所に移さ
れたのです。

一般人が罪祭を捧げる時には、血は聖所の中へ持っていかれず、
燔祭の祭壇の周囲に注がれ、残りは祭壇の下に注ぐことになってい
ました。

しかし、罪祭を捧げに来た罪人が、羊の血が聖所の中へ入れられ
ないことを見て、不思議に思い、祭司にこのように質問するかもしれ
ません。「祭司様、私が罪を告白して殺した羊の血が、聖所の中へ入
らなければ、私の罪はどのようにして聖所の中へ移され、どのように
してあなた様は、私の罪のためのとりなしの祈りを、捧げられるので
しょうか?」その時、いけにえを捧げるためにやって来た人を見つめ
ながら、祭司は詳しく、そして厳粛に、次のように罪祭の意味を説明
します。

「兄弟よ、血が聖所の中へ持っていかれなければ、あなたの罪が
聖所へ移されないことは事実です。しかし、あなたの罪が聖所へ移
される、別の方法があるのです」。「どうようにされるのですか?」。
「さあ、ごらんなさい?今、私がこの羊の肉を少し食べます。あなた
が告白した罪は、この羊に移されたのですから、今度は、その罪が私
の体に移されることになるのです。このようにして、罪はあなたのも

第4章 │ 61
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