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罪が、天のお父様の目には、あまりにも忌まわしいものである
ため、天父は、ご自分と和解されないのではないかという恐怖心
が、イエス様を襲いました。イエス様は、天父から永久に見捨て
られたというすさまじい誘惑を感じ、十字架から、「エリ、エリ、レ
マ、サバクタニ」という悲痛な叫びを上げられたのでした。イエス
様は、神様の怒りの刑罰が、最後に罪人に下る時、罪人が感じる
そのような絶望を感じておられたのです。

天父はこれまで、ご自分のいとしいみ子に、是認と支持の確証
を与えておられましたが、今それを取り去られました。そのため、
息も絶え絶えの苦痛の中で、キリストの信仰と希望は揺らぎまし
た。しかしその時、世の救い主は、天父が彼の労苦を受け入れら
れ、彼の働きを喜ばれたという、これまで彼を力づけてきた過去
の記憶によって神様を信頼されました。死の苦しみの中で、その
高貴な生涯をまさに終わろうとしておられる時に、キリストは、以
前は従うことが喜びであった方に、ただ信仰によって頼らなけれ
ばなりませんでした。左右どこにも、希望という、彼を活気づける
明るい光は見えませんでした。情け深い救い主は、恐ろしい暗黒
の中で、謎に包まれた杯を、最後の一滴まで飲み干されました。
将来に対する明るい希望と勝利の確信も与えられないまま、彼は
声高く叫ばれました。「父よ、わたしの霊をみ手にゆだねます」(
ルカ23:46)。

C、罪祭に見るイエス様の愛と苦難
ある人たちは、贖罪について非常に制限された見解しか持ってい
ません。キリストは、神様の律法の刑罰の、一部だけしか経験してい

第4章 │ 65
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